教育目的の内容です。医療上の助言ではありません。ご自身のケアについて、担当医やメンタルヘルスのケアチームと話し合うことの代わりにはなりません。

30秒でわかること

  • 高機能に見える双極症は、この病気の軽い型ではありません。 二つ目のフルタイムの仕事です。応募した覚えもなく、給料も出ず、誰からも評価されません。
  • 罠は「機能している」という言葉にあります。 機能しているから、担当医も家族も、やがて自分自身も「問題ないはずだ」と結論づけます。そして、さらに頑張ってしまいます。
  • エネルギーは、お金のように予算を立てて使います。 ペースを合わせるのは、最高の日ではなく平均的な日です。
  • 崩れる前に、回復の時間を予定に入れます。 前もって計画した休息は、抜け出さなければならない燃え尽きよりも、はるかに安く済みます。
  • 選んだ少数の人の前では、仮面を外します。 そして「機能している」の意味を定義し直します。どう見えるかではなく、その生活を続けていけるかどうかです。

誰にも見えない仕事

一日中、頭の裏では、他の人は動かす必要のない静かなソフトが動いています。

  • 気分を監視する。 これは普通の疲れか、それとも何かの始まりか。
  • エネルギーを管理する。 揺れが外に見えないように。
  • 感じていることを翻訳する。 その場にふさわしい顔へと。
  • 言葉を調整する。 考えが速くなるときは抑え、ひどく遅くなるときは無理にでも絞り出す。

そして家に帰って、人知れず回復します。明日また、何の努力もしていないように見せるために。

それは労働です。本物の、絶え間ない、消耗する労働です。『Bipolar, Not So Much』の共著者であるクリス・エイケンは、双極症のある多くの人がよく知る状態を「疲れているのに高ぶっている」と表現しています。燃料は切れかけているのに、エンジンの回転が落ちてくれない状態です。

怠けているのでも、もろいのでもありません。みんなに見えている仕事の上に、たまたま目に見えない二つ目のフルタイムの仕事をこなしているのです。

「自分は、ふりをしているだけかもしれない」

まだ機能できているのだから、自分は本当には当てはまらないのでは。診断を受ける資格も、支援を受ける資格もないのでは——そんな静かな声が聞こえたことがあるかもしれません。

その考えは、とてもよくあるものです。問題がない証拠ではありません。それだけ上手に隠してきた、という指標です。

いちばん上手に覆い隠している人ほど、自分が苦しんでもいいのかどうかを、いちばん強く疑っていることがよくあります。

「機能している」に潜む罠

機能しているから、周りは誰もが「問題ないはずだ」と結論づけます。担当医は、仕事や人間関係が続いているのを見て「緊急ではない」と考えます。家族は「とても順調だね」と言います。そしていちばんつらいことに、自分でもそう信じ始めます。これだけできているのだから、たいしたことはないのかもしれない。もっと頑張るべきなのかもしれない。

そうして、さらに頑張ります。それこそが、「高機能」という褒め言葉が牢屋へと変わる瞬間です。

軽そうに聞こえる言葉に、だまされないでください。双極スペクトラムの穏やかに見える側、とくに双極II型を研究している臨床家たちは、それが見た目よりはるかに大きな支障をもたらしうることを明らかにしています。長く繰り返すうつ状態と絶え間ない不安が、完全に管理できているように見える表面の下に隠れているのです。

問題なく見えることと、本当に問題がないことは同じではありません。問題なく見せることは、一日のうちでいちばん高くつく行動であることが少なくありません。

軽躁状態が拍手で迎えられるとき

高機能に見えると、軽躁状態は病気には見えません。素晴らしい一か月に見えます。生産的で、頭が冴え、魅力的で、周りは称賛します。本来なら気づくべきサインであるはずの状態が、見つけられるどころか祝われてしまうのです。

その一方で、落下は家で、仮面の裏で静かに起こります。担当医も友人も、それを見ていません。何年も本当に調子を崩しているのに、外からは「絶好調」と映ることがあります。こうして、成功例の姿のまま、支援の隙間から落ちていく人がいるのです。

転換1——エネルギーを、お金のように予算化する

では、どうすればいいのでしょうか。「もっと頑張る」ではありません。それこそが、いま自分を傷つけているものです。代わりに、3つの転換があります。

規律さえあれば引き出せるはずの、無限の努力があるわけではありません。量には限りがあり、この病気はそこから大きく差し引いていきます。

だから、何でもできる気がしてすべてに「はい」と言った最高の日を基準に、ペースを決めるのはやめます。平均的な日に合わせます。 最大値ではなく実際の予算の範囲で使えば、月曜に使いすぎて木曜には破産している、という急上昇と急落の繰り返しを止められます。

よく知っているパターンのはずです。調子のいい日に、追加の仕事にも、食事の誘いにも、頼み事にも「はい」と言う。そして、そのあと三日間、穴の中で過ごす。

答えは、悪い日にもっと規律を強めることではありませんでした。よい日に、少しだけ使う量を減らすことです。

ティールのテーブルの上に積まれた、小さな金貨の山。

転換2——崩れたあとではなく、崩れる前に休む

高機能に見える人の多くは、倒れてはじめて休みます。回復が、緊急対応になってしまうのです。

これを逆にします。休む時間を、キャンセルできない予定のように前もってカレンダーに入れておきます。そうすれば、空っぽになってから床から拾い上げるのではなく、空っぽになる前に自分を守れます。

小さくて構いません。予定のない夜を会議のように守る、何も入れない日曜日をつくる。大事なのは、壁にぶつかる前に、意図してそこに置いてあることです。

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転換3——選んだ少数の前では、仮面を外す

すべての人に、演技を見せる義務はありません。

安全だと思える人を一人か二人選び、本当の代償を見せます。疲れも、高ぶりも、そのための努力も。仮面は、抱えているもののなかでいちばん重いもののひとつです。どこかで下ろしていいのです。

相手にようやくわかってもらうための一文がほしいなら、これを試してみてください。

「元気に見えるのはわかってる。でも、そう見せることが疲れるんだ。」

演技と、そのための代償とのあいだにある差を言葉にしてくれます。消耗の一部が「断れないこと」にあるなら、双極症と境界線。罪悪感に飲まれずに「できない」と言う方法が、自然な次の一歩になります。

「機能している」の意味を定義し直す

これまで、機能しているかどうかを、他の人にどう見えるかで測ってきました。でも、本当の機能とは、問題なく見えることではありませんでした。本当の機能とは、その生活を続けていけるかどうかです。 それをやりとげるために、自分を静かに壊し続けなくてもすむかどうかです。

だから、基準を下げます。演技から、持続可能性へ。本当に抱えていける少し小さな生活は、中身を削っていく立派な生活よりも優れています。

それは諦めではありません。自分が実際に走っているマラソンのペース配分を、ようやく学ぶということです。

落ち込みが「もうここにいたくない」という考えに変わることがあれば、どうかすぐに助けを求めてください。日本では、生命や身体に差し迫った危険があるときは 119(救急) に、暴力や事件など警察の緊急対応が必要なときは 110(警察) に連絡してください。死にたい・消えたい気持ちがあるときは #いのちSOS 0120-061-338、つらさや孤立をひとりで抱えているときは よりそいホットライン 0120-279-338 に相談できます(いずれも通話料無料)。危機のページに国別の窓口をまとめています。

やわらかな光の差す窓のそばに置かれた、誰も座っていない肘掛け椅子。

自分にやさしくしてください。誰にもわからないほど、ずっと多くの仕事をしてきたのですから。