教育目的の内容です。医療上の助言ではありません。家庭での計画が専門的な支援の代わりになることはなく、緊急時に使う道具でもありません。

30秒でわかること

  • その場で奪った主導権は、ほぼ必ず裏目に出ます。 エピソードのさなかには、助けが攻撃のように感じられ、二人は病気とではなく、お互いと戦うことになります。
  • 前もって合意した主導権は、うまくいきます。 調子のよいときに二人で書いた計画にパートナーが従うなら、それはあなたの意思を覆しているのではなく、あなたとの約束を守っているのです。
  • 範囲は狭く。 はっきりした役割がひとつ、はっきりした理由がひとつ、はっきりした終わりがひとつ。「安定するまで支払いをお願い」であって、「私の人生を引き受けて」ではありません。
  • オンのスイッチとオフのスイッチを書いておきましょう。 そして、必要になる前に、主治医とやりとりできる手はずを整えておきます。
  • 二人で合意し、範囲を限ったものであること。 それ以外のものは、治療計画ではありません。

ハンドルを奪うと、なぜうまくいかないのか

人がとっさに選ぶやり方こそ、失敗するやり方です。あなたはすでに調子を崩していて、パートナーは怖くなり、被害が始まるのを見ながら、主導権を取ろうとします。まさにその瞬間に、予告もなく。

問題はタイミングです。エピソードのさなか、特に躁エピソードでは、病識は低くなりがちで、確信は天井知らずになります。だから、助けは助けとして届きません。攻撃として届きます。そして、あなたは反撃します。そのけんかで残ったわだかまりは、エピソードが終わってから何か月も続くことがあり、二人とも傷つきます。

その場面に、悪者はいません。一人は怖がっていて、もう一人は調子を崩していて、どちらにも計画がなかっただけです。

うまくいくやり方:調子のよいときに決めておく

医療者はこれを、再発予防計画や治療契約と呼びます。家族焦点化療法の中心的な道具のひとつで、デイヴィッド・ミクロウィッツが『本人と家族のための双極症サバイバルガイド』(The Bipolar Disorder Survival Guide)で解説しています。

うまくいく理由は、わかってしまえば単純です。穏やかな午後に二人で作った計画にもとづいてパートナーが動くとき、それはあなたを力で押さえつけているのではありません。より頭がはっきりしていたときのあなたが頼んだことを、実行しているのです。その瞬間の意味が変わります。「パートナーに支配されている」ではなく、「自分を大切に思う過去の自分が、まさにこれをしてほしいと頼んでいた」になるのです。

自分で決める力を失うのではありません。前もって使っているのです。

うまくいく場面を思い浮かべてみてください。数週間後、二人で印をつけておいた早期サインが現れます。パートナーは慌てず、飛びかかりもしません。静かにこう言います。「これ、前に話してたやつだよ。約束したとおり、2週間くらい支払いはこっちでやるね」。あなたのどこかが、それに気づきます。押さえつけられたのではなく、支えられたと感じられるのです。

小さなテーブル越しに、クリーム色の封筒を手渡す二つの手。奥にノートとマグカップ。

二人で守れる計画の、4つの要素

1. 穏やかな週に一緒に決めて、書いておく。 エピソードのさなかではありません。それでは遅すぎます。誰も読まない長い取り決めより、二人とも理解できる短くて平易な取り決めのほうが役に立ちます。

2. 具体的に、限定的に。 決められたエピソードのあいだに、パートナーが代わりに引き受ける、ごく狭い範囲をはっきり書きます。臨床文献のある例では、妻が再び安定するまで、夫が支払いを引き受けることにしたカップルがいました。支払いだけです。引き継ぐ範囲が狭いほど安心でき、二人とも守り続けられる可能性が高くなります。

3. オンのスイッチとオフのスイッチを決める。 どの早期警告サインで計画が始まるのか。終わるには何が必要か。1週間ふつうに眠れたこと、主治医との面談、など。書面にしておけば、パートナーは悪者になった気持ちにならずにすみ、あなたは不意打ちされた気持ちにならずにすみます。サインを選ぶときは、早期サインのチェックが役に立ちます。

4. 必要になる前に、連絡の手はずを整える。 深刻なエピソードのとき、パートナーはよく壁にぶつかります。本人の同意がないと、医療機関がパートナーと話せないのです。調子のよいうちに、医療情報の共有に関する同意書に署名しておくこと、あるいは精神科の事前指示書を作っておくことで、あなたが信頼する人が、鍵のかかったドアの外に立ち尽くすのではなく、実際に助けられるようになります。

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パートナーの方へ

その時が来たら、自分の権限ではなく、取り決めを持ち出してください。「これ、二人で決めたよね?」は、「病気なんだから、こっちが仕切るよ」とはまったく違うふうに届きます。一方は共有した約束を指し示し、もう一方は相手を指さします。

それでも、抵抗はあるものと思っておいてください。調子を崩している脳は、完璧な計画にさえ抵抗することがあります。それは計画の失敗ではありません。取り決めが保証してくれるのは、あなたが本当の、事前の了承のもとで動いていること、けんかではなく地図を持っていること、そして後に残るわだかまりがずっと少なくてすむことです。自分自身の次の一手も決めておきましょう。電話する主治医、ひとりでは越えない一線。そうすれば、暗闇で即興することはなくなります。

これを安全に保つ境界線

これがうまくいくのは、二人で合意し、範囲を限ったものであるときだけです。一方のパートナーがもう一方を管理したり支配したりするための道具ではありませんし、「どうせエピソード中なんでしょ」は議論に勝つための切り札ではありません。合意なしに主導権が奪われたり、守るためではなく支配するために使われたりするなら、それは治療計画ではありません。そう名指ししてかまいません。

そして、あなたや誰かに危険が及ぶときは、家庭の計画の出番ではありません。救急や警察などの緊急サービスの出番です。危機のページに国別の窓口をまとめています。躁状態のさなかにパートナーが何をすればいいかについては、大切な人が躁状態にあるときをご覧ください。

一生の宣告ではなく、補助輪

これを練習するカップルは、だんだん上手になっていきます。最初はぎこちなく形式ばった取り決めでも、やがて自然なものになり、多くの人は、自分の早期サインに自分で気づき、パートナーが手を出す前に動けるようになります。

前かごと補助輪のついた自転車が、夕方のやわらかな光のなか、小道に止められている。

診断を受けているのがあなたなら、調子のよいときにこうした取り決めに署名することは、弱さでも敗北でもありません。いちばん頭がはっきりしているあなたが、嵐の前に副操縦士を選んでいるのです。それは人生のコントロールを失うことではありません。もしかすると、あなたがこれまでにする中で、いちばん自分をコントロールできている行動かもしれません。

お互いに、やさしくしてください。