教育目的の内容です。診断ではありません。この二つを見分けるのは複雑です。専門家の代わりとしてではなく、専門家のもとへ持っていく地図として使ってください。

30秒でわかること

  • 症状は重なっても、エンジンは違います。 ADHDは絶えず鳴り続けるうなりのようなもの。双極症はエピソードとしてやってきます。
  • 特に役に立つ手がかりのひとつは睡眠です。 短い夜のあと、ADHDでは疲れていることが多く、躁や軽躁では冴えていることがあります。これは専門家と話し合うための手がかりで、それだけで判断できる検査ではありません。
  • 正しく見分けることが大切です。 治療が違ううえ、気づかれていない双極症に精神刺激薬が加わると、躁状態の引き金になることがあるからです。
  • 両方ある場合もあります。 その場合は、たいてい気分の安定が先です。
  • 2週間記録して、 迷いだけでなく、証拠を持って受診しましょう。

なぜ、これほど混同されやすいのか

重なりは現実にあります。推計には幅がありますが、研究によれば、双極症のある成人のおよそ6人に1人がADHDの基準も満たし、ADHDがなくても、双極症では注意の問題がよく見られます。

その影響も現実的です。ADHDのように見えるものを精神刺激薬で治療して、実は診断されていない双極症だった場合、躁エピソードを引き起こすことがあります。逆にADHDを見逃すと、気分は落ち着いても、日々の生活はうまく回らないままかもしれません。だから、全体像を正しくつかむことには意味があります。

6つの視点

1. ふだんの状態か、エピソードか。 ADHDは持続的です。毎日の脳の動き方そのものとしての、一定のパターンです。鍵をなくす、約束を忘れる、作業に取りかかれない。それが子どものころから今まで、一本の糸のように続いています。双極症は周期的です。季節が変わるように、エピソードとしてやってきます。何か月も調子よく過ごしたあと、変化が訪れるのです。こう自分に聞いてみてください。これは変わらない特性のように感じるか、それとも数週間ずつ、何かが操縦席に座ってしまうように感じるか。

2. きっかけのある気分か、ひとりでに動く気分か。 ADHDでは、感情が強く、速く動くことがあります。批判的なひと言で気分が急降下する。でも、状況が落ち着けば、たいていは元に戻ります。双極症の気分は、自前の電池で動いています。生活の中で実際に起きていることとは関係なく、変化することがあるのです。

3. 疲れているか、冴えているか。睡眠という手がかり。 どちらも睡眠を乱します。注目するのは翌日です。ADHDでは、考えが止まらなくて眠れず、3時間しか寝ていなければ、翌日はたいてい体を引きずるようになります。躁や軽躁では、3時間しか寝ていないのに、エネルギーに満ちて目が覚めることがあります。それは不眠ではありません。睡眠欲求の減少で、専門家が軽躁や躁で確かめる中核的なサインのひとつです。

温かな朝の光が差すテーブルの上の、一杯のコーヒー。

4. 気の散り方の、質の違い。 ADHDの注意散漫は、刺激が少なすぎることから来ることが多いものです。退屈な作業をしていると、心がさまよい出します。躁状態の注意散漫は、多すぎることから来ます。考えが、つかまえきれない速さでやってきて、ひとつの考えから次の考えへと飛び移ります。医療者はこれを観念奔逸と呼びます。白昼夢と、猛スピードのカーチェイスの違いです。

5. 体のモーター。 ADHDの落ち着きのなさは、もぞもぞしたり、足を小刻みに動かしたりすることで、たいていはいろいろな作業に散らばっていて、必要なら抑えることもできます。躁状態の焦燥は、止められない電流のように感じられ、ひとつの目標に固定されていることがよくあります。丸2日、ぶっ通しで家のペンキを塗り替える、というように。

6. これまでの経過。 ADHDは神経発達症で、サインはたいてい12歳より前に現れます。「おしゃべりが多い」「ぼんやりしていることが多い」と書かれた通知表は、その物語に当てはまります。双極症はふつう、もっとあとに始まり、10代後半や20代であることが多いです。ひとつ注意点があります。頭のいい子どもは、大人の生活が難しくなるまでADHDを隠せてしまうことがあります。だからこそ、丁寧な臨床面接が大切なのです。

両方あるとき

子どものころからの経過と、睡眠が減ってエネルギーが高まるエピソードの両方に心当たりがあるなら、両方ある可能性があります。それは現実によくある姿です。安定しているときでも集中や整理は難しく、ときどき気分の波が押し寄せる、という状態です。

順番が大切です。医療者は一般に、まず気分を安定させ、それから注意の問題に取り組みます。不安定な双極症の上に、集中のための精神刺激薬を重ねるのは、断層の上に家を建てるようなものです。

安全についてひと言。双極症の衝動性は、違う規模に達することがあります。無謀な運転、危険な出会い、貯金を使い果たすこと。衝動がハンドルを握っていて、自分はトランクに閉じ込められているように感じることがあったら、特に自分を傷つける考えが少しでもあるときは、緊急事態として扱ってください。日本では、生命や身体に差し迫った危険があるときは 119(救急) に、暴力や事件など警察の緊急対応が必要なときは 110(警察) に連絡してください。精神科の緊急事態であることを、対応者にはっきり伝えてください。つらさや孤立をひとりで抱えているときは よりそいホットライン 0120-279-338、死にたい・消えたい気持ちがあるときは #いのちSOS 0120-061-338 に相談できます(いずれも通話料無料)。危機のページに国別の窓口をまとめています。

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2週間のパターン記録

はっきりさせてくれるのは、もっと考えることではなく、データです。1日4行、2分もかかりません。

  • 睡眠: 何時間眠ったか。目覚めたとき疲れていたか、冴えていたか。
  • 気分: −3(低い)から+3(高い)まで、0がふだんの状態。何かの出来事のせいで動いたか、理由もなく動いたか。
  • 集中: 何にも集中できなかったか、それとも次々といろいろなことに強く引きつけられたか。
  • 出来事: 今日あった目立つこと。口論、締め切り、パーティーなど。

最後の行で、気分が出来事に反応して動くのか、ひとりでに動くのかがわかります。そして、それを持って受診します。「2週間記録してきました。集中力は毎日よくなくて、それでADHDかなと思うのですが、4時間睡眠で高揚していた日が3日ありました。両方の可能性について相談できますか」。病名をつけてほしいと頼んでいるのではありません。証拠を示しているのです。準備についてさらに知りたい方は、双極性障害はどうやって診断されるのですか?をご覧ください。

どちらであっても役に立つ支え

  • 置き場所を決める: ドアのそばに器をひとつ置いて、鍵、財布、薬をそこに入れます。もっと頑張って覚えようとするのは、やめましょう。
  • 起床時刻をそろえる: 毎日同じ時刻に起きます。眠れなかった夜のあとでも。安定した時計は、躁状態に対する最初の防御です。
  • 一時停止ボタン: 大きな決断には24時間ルール。いい考えは、明日まで生き残ります。

やわらかく光る小さな丸い一時停止ボタンを押す指。

今夜、「1日目」と書いて、睡眠、気分の数字、集中の具合をメモしてください。今日、パズル全体を解く必要はありません。ピースを集めはじめるだけでいいのです。はっきりさせることが、コントロールの始まりです。