30秒でわかること

  • 多くの記録が続かないのは、項目が多すぎるからです。気分、食事、歩数、水、感謝、薬、天気。気づくと第二の仕事になります。
  • 記録するのは、3行だけです。睡眠の時間帯、エネルギー、ひとことメモ。
  • 気分よりも、まずエネルギーを見ます。気分は主観的で揺れやすいですが、睡眠とエネルギーは身体に近い指標です。
  • 例:睡眠:23–7(8時間)/エネルギー:3/メモ:仕事の負荷が高い。
  • 目的は、完璧なデータではありません。感覚だけではわかりにくい日でも、外側から見える小さな計器を持つことです。

なぜ記録は続かないのか

気分が不安定だと、全部を測りたくなります。そうすれば理由がわかる気がするからです。

でも項目が増えるほど、悪い日に続けるのが難しくなります。そして本当に記録が大事なのは、悪い日です。結果として、立派な表やアプリは止まり、途中まで書いたノートだけが残ります。

それは、あなたが続けられない人だからではありません。仕組みが重すぎただけです。

必要なのは、悪い週でも生き残るくらい小さな記録です。

気分より、エネルギーを見る

「今日の気分は?」と聞かれると、答えは時間によって変わります。朝は絶望、昼は少し平気、夜は不安。気分だけを追うと、かえってわかりにくくなることがあります。

双極症では、エネルギーが大事な手がかりになります。特に混合状態では、気分は低いのにエネルギーだけが高いことがあります。

気分だけなら「つらい」と書くかもしれません。でもエネルギーも見ると、「つらい、でも8/10くらい動きが止まらない」と気づけます。これは大切な赤信号です。

ベッドサイドの小さなノートに、3行だけ記録が書かれている。

1行目:睡眠の時間帯

睡眠は、合計時間だけでなく、時間帯を書きます。

23:30 → 7:00(7.5時間)

これだけで、かなり情報が増えます。何時間寝たかだけでなく、いつ寝て、いつ起きたかがわかるからです。

途中で何度も起きたなら、最後に「中途覚醒あり」と書くだけで十分です。細かく書きすぎないことが、続けるコツです。

2行目:エネルギー 0〜5

エネルギーは、6段階で十分です。

  • 0:空っぽ
  • 1:予備電源
  • 2:低い
  • 3:安定
  • 4:高い
  • 5:加速している

これは「良い日・悪い日」ではありません。燃料の量を見るだけです。

特に注意したいのは、5が続くことです。考えが速い、じっとしていられない、睡眠が短い。それが重なるなら、「調子がいい」と決めつけずに観察します。

3行目:ひとことメモ

最後は、今日の見出しを一言だけ書きます。

  • パートナーと口論
  • 薬を飲み忘れた
  • 夕方にコーヒー2杯
  • 大きな締切
  • 生理が始まった
  • 家族から電話

ここで大事なのは、観察するだけで、裁かないことです。

「夜中までスマホ」なら、それだけ書きます。

「まただめだった、スマホを見てしまった」と書く必要はありません。

恥はデータを濁らせます。好奇心はデータを見やすくします。

少なく記録して、はっきり見る

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10日間だけ試す

まず10日だけ続けます。

1〜3日目は、ただ書く。

4〜7日目は、探偵のように読む。

夕方のカフェイン → 睡眠が短い → エネルギー1。

8〜10日目は、小さな変更をひとつだけ試します。

見えてくるパターンはいくつかあります。

偽の元気: 睡眠が6時間、5時間と減り、エネルギーが4、5と上がる。「新しい事業を思いついた」とメモがある。これは祝う前に確認するサインです。

ゆっくりした下降: 睡眠が9時間、10時間に増え、エネルギーが2、1に下がる。「人に会う予定を断った」「シャワーが無理」とある。早めに支えを入れるサインです。

社交の反動: 週末に遅くまで外出し、その後2日間エネルギー1が続く。予定の組み方を見直すヒントになります。

データで話す

3行記録は、自分だけでなく、医師や家族との会話にも役立ちます。

医師には、こう言えます。

「10日分の記録があります。睡眠が少しずつ短くなり、エネルギーは4が続いています。自分では少し加速している感じがあります。」

家族やパートナーには、こう言えます。

「今日はエネルギー1です。あなたのせいではなく、燃料が少ない日です。静かな夜にしたいです。」

最後に、大事な注意です。最初から項目を増やさないでください。歩数、食事、画面時間、天気、全部入れたくなります。でも、ノイズが増えると信号が見えなくなります。

まずは、3行だけ。睡眠、エネルギー、ひとこと。それで十分です。

霧が晴れて、ぼやけた景色が少しずつはっきり見えてくる。